2015年1月28日水曜日

71名の作家の心に残る本のエッセイ集


The Book That Changed My Life: 71 Remarkable Writers Celebrate the Books That Matter Most to Them
Edited by Roxanne J. Coady & Joy Johannessen
ISBN: 978-1-592-40317-2

著名な71名の作家が、自分にとって、特別な一冊について綴る、エッセイ集。それぞれが、3ページぐらいずつの割り当てになっていて、選んだ1冊についてのエッセイの他、作家の略歴が添えられています。
71名の作家のうち、2名ほど、William Shakespeareの名前を挙げていて、Nicholas A. Basbanesが、シェイスクピアの全作品と、Frank McCourtが、Henry VIIIを挙げています。Nicholas A. Basbanesのエッセイに、シェイスクピアにはまってしまったという方達が、共通してあげるシェイスクピアの魅力が、語られているなと思ったのですが、同じ作品を何度読んでも、読むたびに、新しい発見があり、まず、書き言葉がとにかく美しく、人の人生にさえも影響を与えるほどの力と、豊かな想像へと導く力強さがあり、更には、人間の深層部分に触れるほどの、シェイスクピアの洞察力に驚かされるとのことです。 私の場合は、まだまだ、シェイスクピアの言葉の美しさに魅入られるほど、原作の英語に親しめないのが、残念なところですが、声を出して読み、場面を想像して、登場人物の役を演じ、その登場人物の心や考えていることなどを想像してみる、というのが、元々は、お芝居用に書かれたものというシェイクスピアの原作に、もしや親しむきっかけになるかも、という、参考になりました。

シェイスクピア以外に挙げられている本としては、F. Scott Fitzgerald の”The Great Gatsby”, Harper Leeの”To Kill a Mockingbird”, J.D. Salingerの”The Catcher in the Rye”, Louisa May Alcottの“Little Women”, Charlotte Bronteの”Jane Eyre”, Charles Dickensの”David Copperfield”などの名前が含まれています。

こちらの本は、ちょっとユニークなので、そちらの方もご紹介したいと思います。編集者の一人である、Roxanne J. Coadyさんは、アメリカのコネチカット州にR.J.Julia Booksellersという書店を経営されていて、年間、200以上の作家を招いてのイベントを開き、作家と読者との交流の場を提供されているということです。書店経営の他に、子供の中には、経済状態や親の識字の問題などで、一度も自分の本を持ったことがないという子供がいることを知ったことから、新生児と家族に本を贈る非営利団体Read to Growも運営されていて、こちらのThe Book That Changed My Lifeに編集されたエッセイは、71名の作家から無償で寄贈されたもので、すべての収益が、Read to Growに寄付されるようになっています。
推薦したい本がたくさんあるから、書店を経営するようになったというRoxanne J. Coadyさんと、もう一人の編集者であるJoy Johannessenの 推薦本のリストも、The Book That Changed My Lifeの後ろの方に、加えられているのですが、後記などを読んでも、彼女の本に対する熱意が、大変なものであることが、伝わってきます。個人の書店を経営する方達が、良書に親しむ機会があることを、どんなに支えているかが、感じられました。
日本でも、最近、本を読まなくなってしまったという統計がでていましたが、子供達が、読書の楽しみを発見して、一生の楽しみとすることができますように。良書も、引き継いでいきたいですね。


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