2014年4月16日水曜日

アンネフランクの花売りの少女


The Flower Girl: Sunday, February 20, 1994

“アンネの日記”の中にも記述されている、自然の美しさの中に、心安らぐ幸福感をみつけることができるんだということに繫がる、短編の物語で、“Anne Frank’s Tales from The Secret Annex”の中で、私が一番好きな物語です。

主人公は、小さな村に住み、毎朝2時間半かけて歩き、マーケットで花を売る、Kristaという、12歳の女の子です。
マーケットでは、彼女の花が、それほど売れるわけではなくて、一日中待たなければならない時もあるし、ずいぶんと売れ残ってしまうこともありますが、彼女には、素敵な楽しみがあって、毎日12時になると、マーケットでコーヒースタンドを開いている他の売り手の方が、Kristaに、お砂糖をたっぷりと入れた、湯気が立ち上って熱々のコーヒーを、無料でふるまってくれます。そして、Kristaも、その日の花束の中から、一番きれいな花束を、彼にプレゼントします。
マーケットから家路につく時には、すっかりと疲れてしまっているため、3時間かけて、朝出た時と同じ状態の、寒くて、孤独で、さびれた家へと帰り、腰を下ろす暇もなく、姉の帰りを待って、わびしい夕食の支度をし、姉との夕食の後には、すぐに、次の日の花売りのために、日が暮れるまで、色々な種類の野生の花を摘みに出かけます。そして、花を摘み終わると、手枕をして、草の上に横たわり、薄っすらと暮れかかる空を見上げます。

村の人々に、かわいそう、と感じられ、実際、一生懸命働かなければならないKristaですが、 この小さな花売りの少女が、不幸だと感じているなんて、思わないで下さいね、
毎日、この自然と交わる短い時間があれば、疲れも、マーケットや他の人のことも忘れ、ただ、目にしているその瞬間のことだけを、考えたり、夢見ることができるし、この自然と交わる短い時間がある限り、Kristaは、毎日、平安な幸福感で、いっぱいになっているんです、という、アンネフランクの言葉です。

そして、ものすごく、話が飛んでしまうようですが、アンネフランクの自然の美しさの中に見出す平安な幸福感ということが、禅の教えにもつながっているように思いました。
公方俊良著“般若心経90の知恵”は、何度も、何度も、手元において、読み返している本なのですが、“心のやすらぎこそが、幸せへの道”ということで、“本当の幸せとは、永遠に失うことのないやすらぎを掴むこと”とあります。


忙しい毎日の中、一日の終わりに、空を見上げ、自然と交わり、目の前にある美しさだけを楽しむことができたら、Contentという気持ちで、眠りにつくことができますでしょうか。
私も、昨日、思いがけず、窓から見える満月がすごくきれいなことに気がついて、しばし、猫とお月見を楽しみました。



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