2012年1月9日月曜日

洋書:A Child Called It


洋書:A Child Called It: One Child’s Courage to Survive
著者:David J. Pelzer

何年か前に日本に帰国した際、かわいい小学生の女の子が、養父と実母に殺されてしまったニュースが連日流れていました。アパートの他の住人の方が、いじめられているようだと、大家さんに連絡したけれど、それぞれの家庭の躾には、口出しできないとか、学校の先生も、子供のけがに気がついて、新しいお父さんにぶたれたと、聞いたことがあったとか、回りの大人の方何人か、ちょっとおかしいと気がついていたけれど、そのままになってしまっていたようで、日本には、なんとかできるような仕組みがないのか?と、思ったのですが、どうなのでしょう?

こちらの本、A Child Called It: One Child’s Courage to Surviveは、著者David J. Pelzerが、実際に経験した、母親による幼児虐待の実話です。とても短い期間だったのですが、こういった公共の施設に保護された子供達のための学校で働きだした時に、“うちの学校の生徒は、こういう子供達だということが理解できるように”ということで、読むように言われたのが、こちらの本です。今でも、図書館の10代向けの推薦図書に挙げられたり、学校の先生へ推薦されたりしています。著者の母親は、外では、普通に振舞うし、著者以外の子供には、手を出さなかったのですが、アルコール中毒の問題があり、この著者には、何年にもわたり、日常的に、虐待を加えていました。こちらの本には、その虐待の詳細と、著者が、どのように、生き残ってきたか、そして、公的な保護を受けてからの生活が語られています。実親が、どうして、自分の子供にこんなにひどい虐待を加えるんだろう?と、答えのない疑問が、まず、浮かんできましたが、こういう現実が、実際にあるということは、私が勤めていた学校の子供達にも言えることで、まず、幼児虐待は、命にかかわる深刻な問題であるということを、事実として受け止めました。そして、子供に関わる仕事につく方への、参考としては、たとえば、著書は、家で、全く食事を与えられず、おなかがすいていることをしのぐために、同級生の昼食などを盗んでしまうのですが、そのことだけで、悪い子供、問題児と、決めてしまうのではなく、もしかしたら、何か、特別な理由があるのかもしれないな?と、考える必要があるということなども、思いつかせてくれます。アメリカでは、州によって、取り扱いの違いは、ありますが、幼児虐待を犯罪として、深刻に受け止め、学校の先生には、疑いを持った時には、報告の義務が課せられているなど、子供の救済のための行動が、すぐに取られるようになっています。私が働いていた学校でも、校長を始め、地域の教育機関、精神科医、カウンセラー、子供のための福祉に関わる方、警察など、たくさんの方が、連携しながら、子供達のケースに、取り組んでいました。こちらの本を通して、アメリカの幼児虐待に関わる公的な取り扱いの仕組みなども、簡略に読み取ることができますので、日本との比較や参考になるかもしれません。

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